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テント倉庫の建築確認は不要?申請の必要性について解説

2023.09.01

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      建物の建設や増改築にあたっては、該当の建物や建築計画が、建築基準法や自治体の条例に適合しているかチェックする建築確認が必要です。テント倉庫も建築物であるため、基本的に建築確認を行いますが、不要なケースもあります。

      今回は、テント倉庫の建築確認の必要性や、膜構造の建築物の緩和処置、申請に必要な書類や費用、流れ、注意点を解説します。必要であるにもかかわらず申請しなかった場合は、罰則もあるため、正しく手続きを行いましょう。

       

      テント倉庫における建築確認の必要性

      建物の建築や増改築の際は、その建物や建築計画が、建築基準法や自治体の条例に適合しているかを工事の着手前にチェックする必要があり、これを建築確認といいます。

      建物は年間を通して、雨風や台風、地震などにさらされるため、自然災害などに対してある程度の耐久力を持つ必要があるのです。

      テント倉庫は屋根と柱、もしくは壁のある建物であり、土地に定着していることから、建造物とみなされます。よって、テント倉庫も基本的には建築確認が必要ですが、不要なケースもあります。

       

      確認申請が必要なケース

      面積が10平方メートルを超えるテント倉庫を建築する場合、確認申請が必要です。10平方メートルは約57畳ほどの広さであり、正方形の場合は1辺の長さが約3.16mです。

      さらに、防火地域や準防火地域、都市計画区域や知事指定区域内などの場所における建築では、面積にかかわらず確認申請を行います。つまり、たとえ1平方メートルであっても確認申請が必要であるということです。

      また、更地に新築としてテント倉庫を建てる場合も、床面積に関係なく申請しなければなりません。

       

      確認申請が不要なケース

      防火地域や準防火地域以外の場所において、増築・改築・移転をする場合、床面積が10平方メートル以内であれば確認申請が不要です。

      更地であれば申請が必要ですが、すでに建物がある敷地内の空いた部分に、10平方メートル以内のテント倉庫を建てる場合は、申請が免除されます。

      このように、確認申請をしなくてよいケースもあるため、建築予定のテント倉庫が該当するかチェックしておきましょう。

       

       

      建築確認申請を行わなかった場合の罰則

      確認申請が必要にもかかわらず申請を怠ると、確認申請の提出者である建築主(施主)は、罰則を科される可能性があります。具体的には、建築基準法第991号の規定に基づき、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金が科されることがあるのです。

      また、確認申請をしないまま工事に着手した場合に、自治体から工事の停止を要求されたにもかかわらず工事を続行すると、建築基準法第9条第1項の違反となります。

      建築基準法第98条第1項の規定によって、命令に違反した者は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されるおそれがあります。

      いずれにせよ、違反したからといってすぐに罰則が科されるわけではありません。行政が事実確認したうえで、必要な措置を命令するといった流れになります。

       

      666号と667号の違い

      建築確認申請を行う前に、膜構造の建築物に関する法令の確認も必要です。膜構造の建築物とは、屋根や外壁などに帆布を使った建築物を指します。

      国土交通省告示第667号の基準に適合した建築物がテント倉庫であり、国土交通省告示第666号の基準に適合した建築物が膜構造の建築物です。

      テント倉庫も膜構造建築物のひとつですが、用途や面積などに違いがあります。666号はさまざまな用途に利用できますが、667号は倉庫としての利用に限られています。

      延べ面積は、一般的には666号は1,500平方メートル以下で、667号は1,000平方メートル以下と決められています。このように用途や延べ面積のほか、666号は階数や軒高の制限がないなどの違いがあります。

      667号は、コスト削減や短工期の実現が目的です。667号とみなされるためには、用途や延べ面積などの規定に適合する必要があり、ひとつでも当てはまらなければ、666号の膜構造の建築物として建築することになります。

       

      緩和処置を受けるための条件

      667号が適用されると、設計風速の低減が受けられ、構造計算書の妥当性に関する適合性判定が不要となるなど、緩和処置を受けることが可能です。コスト削減や短工期の実現が期待できる緩和処置を受けるための条件を、6つの項目に分けて解説します。

       

      使用用途

      テント倉庫を何に使うのか、その用途に制限があります。先述のとおり、緩和処置を受けるには、倉庫としての利用に限定されています。

      倉庫は、物品の保管のために使う場所です。たとえば農業の現場であれば、収穫した野菜・果物の保管場所や、車両以外の農機具の置き場、シートなどの農業資材を保管する場所としても使えます。

       

      倉庫の構造

      鉄骨で組み立てた骨組みに、シート状の膜材料を張った構造になっていることが条件です。膜材料は、建物の長い辺の方向に3m以下の間隔で配置された骨組みに定着させる必要があります。

      骨組みに使う鋼材は、日本工業規格に適合したものか、それと同等以上の品質のものを使用します。膜材料についても、保管するものの種類やテントを建築する地域に合わせた基準のものを使用する必要があります。

       

      倉庫の規模

      テント倉庫は、1階建てに限定されています。さらに、延べ面積は1,000平方メートル以下にする必要があります。規模が大きすぎては条件を満たせないため、テント倉庫の広さにも注意が必要です。

       

      屋根と壁

      すべての側面に壁を、天井には屋根を設けることも条件のひとつです。夏場は室内が暑くなりやすく、気象条件によっては結露の発生が懸念されますが、室内の熱気や湿気を外に出す換気扇を取り付けることも可能です。

       

      軒と開口のサイズ

      軒高は5m以下であり、間口は30m以下であることも条件です。軒高は地盤面から軒桁までの高さであり、間口は建物を正面から見たときの幅を指します。

      延べ面積や階数だけでなく、軒高や間口のサイズにも条件があり、倉庫の規模が詳細に決められている点に注意しましょう。

       

      屋根の形状

      屋根の形状にも条件があり、切妻・片流れ・円弧のうちのいずれかである必要があります。

      切妻は日本の住宅建築でよく見られる形状であり、家の中心から左右に向かって山型に屋根が落ちるようなデザインです。片流れは片側に傾斜している屋根で、円弧は円の一部のように曲線を描く屋根を指します。

       

      建築確認申請の必要書類と費用

      建築確認申請にあたっては、必要書類をそろえたうえで、確認申請書に添付する書類も提出する必要があります。専門的な知識を要するものが多いことから、建築主の代理として設計者が申請するのが一般的です。必要書類と費用をみていきましょう。

       

      必要書類

      建築地や内容によっては追加で必要な書類もありますが、標準的な必要書類は以下のとおりです。

       

      さらに、以下に挙げる基本図面も提出が求められます。

       

      費用

      建築確認申請でかかる費用は床面積によって決められており、費用は自治体によって異なります。

      東京都の場合、30平方メートル以内であれば確認申請手数料は5,600円です。100平方メートル超~200平方メートル以内で14,000円、1,000平方メートル超~2,000平方メートル以内で49,000円と、面積にともなって費用も高くなっていきます。

      さらに、中間検査や完了検査においても別途費用がかかります。定められた期日内に現金で支払う必要があるため、事前に料金を確認しておき、余裕をもって準備しておくことがおすすめです。

       

      建築確認申請の流れ

      建築確認申請は、建築主もしくは施工業者や建築家などの代理者が行います。確認申請からテント倉庫使用開始までの流れを、順を追って解説します。

       

      1.建築確認申請の届出をする

      自治体もしくは民間の指定確認検査機関に届け出をします。以前は自治体に提出するのが一般的でしたが、現在は民間の検査機関に届け出ることが多い傾向にあります。

      建築計画や図面が建築基準法などに則しているかを判断してもらいますが、法律に適合しないような大きなミスや不備があると、一旦申請を取り下げたうえで再申請が必要になるケースもあります。

      そのため、検査機関による事前相談や事前審査を受け、訂正すべき箇所を指摘してもらい、解決してから届け出をするのが基本的な流れです。

       

      2.確認済証を受け取る

      確認済証は、工事着工前の段階で、図面や建築計画が建築基準法などに違反していないことを証明するものです。

      申請の内容に問題がなければ決裁が行われ、確認済証が発行されるため、審査機関の窓口で受け取ります。民間の検査機関であれば、自治体よりも審査や回答が速やかに行われるのが一般的です。

      一方で自治体での審査は、申請を受けてから35日以内に法律などに適合しているかを申請者に回答する決まりになっており、必要に応じてさらに35日間の審査が行われるため、45日から最長で70日前後となります。

       

      3.工事を開始する

      確認済証を受け取ると、ようやく工事を始めることが可能です。基礎工事をしたうえで、テント倉庫を建設します。

      膜構造建築物を手掛ける山口産業株式会社は、全国各地に営業所や工場を構えています。山口産業株式会社におけるテント倉庫の建設においては、まず基礎工事を行い、それと並行して、鉄骨や膜などの部材の製作も始めます。

      続いて製作した部材を現場に運び、施工を始めます。膜が軽量であり、なおかつ鉄骨部材が少ないため、短工期での施工が可能です。

       

      4.完了検査の申請を行う

      新しく建てられた建物は、完了検査が義務付けられています。テント倉庫の建築工事が完了したら、4日以内に審査機関などへ完了検査の申請を行いましょう。

      申請が受け付けられると7日以内に完了検査が実施され、とくに問題がなければ検査済証がもらえます。検査済証が交付されることで、建物の使用が認められ、ようやくテント倉庫を使えるようになります。

       

      5.倉庫を使い始める

      完了検査も無事終了すると、いよいよ引き渡しです。倉庫を使い始めることができます。

      一般的なテント倉庫の耐用年数は1015年ですが、鉄骨自体の耐用年数の目安は3040年であるため、膜材の張り替えによって長く使い続けることが可能です。劣化の進行を防ぐためには、定期的な検査やメンテナンスが必要です。

      山口産業株式会社では、引き渡し後の定期点検などのアフターサービスを提供しています。全国各地に営業所を構えており、使用における問題点の改善なども提案してもらえるため、施工後も安心して使えるでしょう。

       

      建築確認申請の注意点

      テント倉庫の建設においても必要な建築確認申請ですが、申請の際に知っておきたい注意点を2点紹介します。

       

      確認後は間取りや設備を変更できない

      たとえば床面積の変更など、工程や検査などに支障がない程度であれば変更が可能ですが、申請が通ってから建物の規模、設備などを大きく変えることは基本的にできません。変更した場合は「計画変更」か「軽微な変更届」のいずれかの手続きを行う必要があります。

      計画変更は法的審査を必要とするもので、確認申請と同じくらいの労力がかかる手続きです。軽微な変更届には法的な審査はなく、変更された時点や完成時の提出が求められます。

       

      検査済証は再発行できない

      建築確認申請や完了検査が無事に終わると、検査済証が発行されます。検査済証は、その建物が建築基準法などの基準を満たしていることを表しています。

      検査済証は、不動産売却時やローンの申込みなどにおいて必要となる場合があります。もし検査済証を紛失したとしても、再発行はできません。

      紛失した場合は管轄の行政庁に申請して、台帳記載事項証明書の発行によって建物の適合性を証明できますが、基本的には紛失しないようにすることが大切です。

       

      まとめ

      テント倉庫の建設にあたっては、基本的に建築確認が必要です。ただし場合によっては確認申請が不要なこともあります。

      建築確認申請では、専門的な知識が必要であり、さまざまな書類を揃えなくてはなりません。建築主ではなく、施工業者や建築家などの代理者が行うのが一般的です。

      山口産業株式会社は、膜構造の提案や製造を通じて、幅広い事業領域における課題解決に取り組む会社です。産業用・建築用・農業用・畜産用・商業用などさまざまな分野に対応できるテント倉庫を提供しています。

      テント倉庫の建設における建築確認申請や書類の作成も行っています。無料で意匠図や見積の作成、現地調査や提案を行っているため、お気軽にお問い合わせください。

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